香港法人の低税率メリットを奪う「タックスヘイブン対策税制」。除外事由を主張するには適切な手続が必要!

Takayuki Fujima
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低税率の金融都市である香港のタックスメリットを享受するため、香港にペーパーカンパニーを設立し、その法人名義で銀行口座を開設し、投資などを行っている方もいらっしゃると思います。でも、香港の低税率を享受するには、万全な準備が必要です。

香港法人やオフショア法人(BVI法人やセイシェル法人)を設立し、香港で口座を作っても、簡単には節税にならない!

香港法人やオフショア法人(ケイマン法人、BVI法人、セイシェル法人など)のペーパーカンパニーを設立して、その法人名義で銀行口座を開設し、投資などを行っても、簡単に節税することはできません。外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)がハードルになります。

Cayman island

(↑ケイマン諸島)

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)については、OWL香港でも記事を書きました。簡単にまとめると以下のとおりで、ペーパーカンパニーでは、香港の低税率のメリットを活かせません。

■日本法人が香港に子会社(ペーパーカンパニー)を設立した場合、香港子会社の所得は親会社(日本法人)の所得として合算されます。

■日本居住の個人が香港に法人(ペーパーカンパニー)を設立した場合、香港法人の所得は日本居住の個人の雑所得となります。

実体のある会社であれば、タックスヘイブン対策税制の適用除外となり、香港の低税率を生かせる

もっとも、この外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)にも例外があります。

上記のタックスヘイブン対策税制の要件を満たすだけで直ちに適用されてしまうと、日本企業の香港子会社は、香港の低税率のメリットを常に受けられないということになりかねません。

そこで、法は適用除外要件を定め、一定の要件を満たした場合には、タックスヘイブン対策税制の適用を免れることとしています。

このタックスヘイブン対策の適用除外基準は、①事業基準、②実体基準、③管理支配基準、④所在地国基準、⑤非関連者基準と呼ばれ、これらを満たした場合には、タックスヘイブン対策税制の適用を免れることになります。

簡単に言いますと、「ペーパーカンパニー」でない実体のある会社の場合、日本法人の所得と合算しない、つまり、香港の低税率のメリットを生かせる、ということです。

タックスヘイブン対策税制の除外事由を主張するには事前の手続が必要

ただ、香港法人やオフショア法人を、実体のある会社にしておけば安泰という訳にはいきません。

親会社である日本法人が税務申告をする際、香港法人(子会社)がタックスヘイブン対策税制の適用除外に当たる旨の別表を添付して申告をする必要があり、事前に申告していない場合には、たとえ実体のある会社であっても、日本の所得と合算されてしまいます。

実は、日本法人の税務申告を依頼していた税理士が、この別表添付を忘れてしまい(別表添付が必要だということを知らず?)、結局、タックスヘイブン対策税制が適用され、合算課税されてしまったという事案がありました。税の専門家である税理士さんも、海外の子会社の取り扱いについては、うっかり忘れてしまうことがあるんですね。

ちなみに、税務申告時に予め香港法人の存在を伝えることで、税務署からの突っ込みを招いてしまう、つまり、藪蛇ではないかと言われることもあります。

しかし、2018年以降、金融口座の自動情報交換が開始されてからは、日本の国税庁は全ての情報を把握し、いつでも摘発できる体制になるでしょう。藪蛇という考え方は違うのではないかなと思います。

OECD CRS

むしろ、税務署に全てを開示しても問題ない体制を整えるべきでしょう。

OWL香港は、香港で既に会社設立をした方が、2018年の自動的情報交換に向けてどう対策をすべきかを一緒に考えていきます。

問い合わせ先(OWL Hong Kong Limited):info@owlhongkong.com

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