平成29年度税制改正で、相続・贈与税回避だけを目的とする海外移住は消滅か!?

Takayuki Fujima
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2016年12月22日に発表された平成29年度税制改正大綱、香港を活用した海外での活動をサポートするOWL香港の立場から注目したのは、①相続税又は贈与税の納税範囲の見直しと②外国子会社合算税制等の見直しです。

今回の記事では、①相続税又は贈与税の納税範囲の見直し、とくに、日本国籍を有する相続人等の納税義務に注目してみましょう。

相続・贈与税免除の要件を、「住所が日本国内に5年ないこと」から「住所が日本国内に10年ないこと」へ

国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等に係る相続税の納税義務について、国外財産が相続税の課税対象外とされる要件を、被相続人等及び相続人等が相続開始前 10 年(現行:5年)以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととする。

(平成29年度税制改正大綱、26ページより)

この改正を理解するには、改正前のシステムを理解するのが近道です。

改正前のシステムは、以前の記事「香港移住で相続税・贈与税を回避できるケース」で書きましたが、以下の二要件を満たす場合であれば、日本人が相続税・贈与税を免れることができました。

相続税・贈与税

①相続人・被相続人(贈与者・受贈者)とも5年以上日本に住所が無いこと

②相続・贈与対象財産が国外財産であること

このうち、「5年以上日本に住所が無いこと」が「10年以上日本に住所が無いこと」に改正されるのです。

余談ですが:タワーマンション節税を規制!

(1)居住用超高層建築物に対して課する固定資産税について、次の見直しを行う (都市計画税についても同様とする。)。

① 高さが 60mを超える建築物(建築基準法令上の「超高層建築物」)のうち、 複数の階に住戸が所在しているもの(以下(1)において「居住用超高層建 築物」という。)については、当該居住用超高層建築物全体に係る固定資産 税額を各区分所有者にあん分する際に用いる当該各区分所有者の専有部分の 床面積を、住戸の所在する階層の差違による床面積当たりの取引単価の変化 の傾向を反映するための補正率(以下(1)において「階層別専有床面積補 正率」という。)により補正する。

② 階層別専有床面積補正率は、最近の取引価格の傾向を踏まえ、居住用超高 層建築物の1階を 100 とし、階が一を増すごとに、これに、10 を 39 で除し た数を加えた数値とする。

(平成29年度税制改正大綱、27ページより)

該当箇所を全部引用すると長いので、一部抜粋にとどめましたが、要は、平成30年度から新たに課税される居住用高層建築物(高さが60m超)に係る固定資産税・不動産取得税について、見直される、ということです。

以前の記事「タワーマンションを利用した相続税節税を国税が否定!?次の節税方法は何だ?」で、タワーマンション利用の相続税節税に国税庁がメスを入れ始めたと書きましたが、税制改正により、タワーマンション利用の相続税節税を明確に封じてきた格好です。

Tower mansion

相続・贈与税免除の要件が、「住所が日本国内に10年ないこと」になったら、どうする?

話を、相続・贈与税免除の要件が「住所が日本国内に5年ないこと」から「住所が日本国内に10年ないこと」に変更されることに戻しましょう。

対策として最初に思いつく方法は、勿論、「日本国内に10年間住所を持たない」ことです。

でも、相続税・贈与税回避目的だけのために、10年間海外に住むというのは、現実的ではないと思います。相続税・贈与税回避目的だけのために海外に住んでいる人の話を聞くことはありますが、現行税制の要件である「5年間」でさえ、税金対策のためだけに海外に住むというのは、退屈で仕方ないようです。これが10年となると、ほぼ不可能でしょう。

もちろん、5年どころか10年以上も香港に住んでいる日本人は大勢います。香港で仕事をしたり、何らかの活動を香港でしている人達ですね。香港だからこそできる仕事・活動をしているのであれば、5年でも10年でも退屈しない都市だと思います。

ですから、「香港の特徴を生かしたビジネスを香港で展開する、結果的に、相続・贈与税対策にもなっている!」というのが、良さそうです。

ちなみに、税金回避(節税)の方法としては、海外移住ほど分かりやすい方法でなくても、他に様々な方法もあるとは思っています。

OWL香港は、香港を活用してどのように相続税・贈与税対策をしていくか、香港を活かしてどのようにビジネスを立ち上げていくかを一緒に考えていきます。

問い合わせ先(OWL Hong Kong Limited):info@owlhongkong.com

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