偽アワビチャーハン事件に学ぶ、商品説明条例をどのように活用する?

Takayuki Fujima
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アワビのチャーハンと偽って別の巻貝のチャーハンを出していたレストランに対し、5月8日、罰金が課されたというニュースが流れ、香港の人々に衝撃を与えました。

アワビ炒飯と名乗っていたのに巻貝を使って炒飯を作り、客に出していた!

香港新界の葵涌にある中華レストラン「茗苑宴會廳(Ming Yuen Banquet Hall)」は、88ドルというアワビのメニューとは思えない非常に格安の価格で、アワビのチャーハンを提供していました。

ところが、このアワビのチャーハンはアワビを使っておらず別の巻貝を使っている、という苦情が税関に入りました。税関が客を装って入店してアワビチチャーハンを注文し、アワビチャーハンをDNA検査したところ、アワビのDNAが含まれていないことが判明しました。

5月8日、西九龍裁判法院(West Kowloon Magistrates’ Courts)は、商品説明条例違反として、5,000香港ドル(約7万5000円)の罰金を科しました。

商品やサービスの説明に虚偽や誤解を招く表現が含まれていると、商品説明条例違反!

香港では偽物の時計やバッグが販売されているという先入観から、香港には偽物の取り締まりが無い、と思っている人が多いかも知れません。

しかし、香港の商品説明条例という法令では、商品やサービスを提供する業者が、商品・サービスについて説明する際に虚偽や誤解を招く表現をした場合、違法となります。その罰則は、最大で、50万香港ドル(約750万円)及び禁固5年と相当厳しいものです。

自社製品の偽物を製造・販売する業者と戦う手段としての商品説明条例

通常、自社商品の類似品を見つけた場合、類似品業者相手に法的措置を取るのは結構大変です。

①差止(類似品の販売を中止させる)、②損害賠償請求(類似品の販売による損害賠償を請求する)など考えられますが、どちらも事実関係の証明は困難を極めます。

また、香港の弁護士報酬は日本の約1.5倍~2倍ですし、裁判所の手続を行うにはソリシター(Solicitor、事務弁護士)とバリスター(Barrister、法廷弁護士)両方にお願いする必要がありますので、日本で弁護士に頼む場合の約3倍~4倍かかると思います。(類似品に対する差止や損害賠償請求でしたら、最低でも400万円はかかるでしょう。)

ところが、類似品の販売業者が商品説明条例であると申告する場合、申告を受けた税関が自主的に調査して摘発してくれるので、費用は大幅に節約できます。

つまり、自社商品の類似品が販売されている場合に、類似品を叩く手段として商品説明条例を使うことができるのです。

(オロナインH軟膏の類似品が摘発された際のマスコミ報道)

この偽アワビ事件、誰が告発?

税関は、偽物の摘発を任務の一つとしているのですが、様々なレストランの料理を抜き打ちチェックするほど暇ではありません。

実際、この偽アワビ事件でも、茗苑宴會廳(Ming Yuen Banquet Hall)のアワビチャーハンにはアワビが使われておらず巻貝が使われているという通報があり、税関が調査を始めたとの報道がされています。

新聞報道では、誰が通報したのかなど書かれてはいません。

しかし、おそらく食感の似た素材を使ったからお客さんに長年ばれなかった訳でしょう。ひょっとすると、レストラン内部の人が通報したのかも知れませんね。

レストランはシェフの犯行に仕立てて、シェフを解雇

アワビチャーハンが88香港ドルというのは、アワビの料理としては格安すぎます。巻貝をアワビと偽っていたことは、レストランぐるみの犯行だったと見る方が自然です。

しかし、新聞記事によると、レストランのマネジャーは、シェフがアワビと巻貝を取り換えたとしてシェフを批難し、シェフを解雇したそうです。

(5月9日時点での新聞報道では、運営会社が罪を認めたとのことですが、シェフがやった行為だが会社として責任を取るという趣旨なのか、会社ぐるみの行為として責任を取るという趣旨なのか、よく分かりません。)

あくまで憶測ですが、誰が告発したのかという謎が、この解雇と関連しているのかも知れませんね。

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