英国・ロンドンも、フランス・パリも、米国・NYも、鉄道や地下鉄といえば、時間通りに来ないし、汚いし、しょっちゅう故障するし、最低最悪というのが相場です。香港でもそうだろうと思いきや、香港のMTR(鉄道・地下鉄)は、定時運行だし、きれいだし、非常に使いやすいのです。MTR

香港のMTR(鉄道・地下鉄)の良いところ

その1:本数が多い。たいていの路線では、3,4分に一本の頻度で来ます。
その2:車両も駅舎もきれい。
その3:乗り換えが便利。東京の地下鉄は、乗り換えようとすると10分以上歩くこともザラですが、香港のMTRの乗り換えは、ホームの向かい側ということがほとんど。
その4:中心地区の駅はどこもホームドアが付いている。子供連れの人にとっては安心。
その5:MTRが発行している電子マネーの「Octopus Card」は、コンビニ、ファストフード店、スターバックスなどのカフェなどで使えるので、これさえあれば、小銭が不要。

MTRは、地下鉄運営のオペレーションを世界中の都市に輸出

これだけ優れた経営手腕を発揮するMTR、狭い香港の中だけでは戦いの場として物足りません。

実は、MTRは、中国の北京、深セン、杭州、オーストラリアのメルボルンなどで、地下鉄の計画・建設から、運行・運行管理にわたる一連の流れを請け負っているのです。実際、香港の隣町である中国本土・深センの地下鉄に乗ると、駅出口のマークまでそっくりです。

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日本は、新幹線技術を世界各国に輸出しようとしています。台湾への輸出には成功しましたが、インドネシアへの輸出は不発に終わりました(インドネシア政府が計画を取りやめた)。新幹線技術は受注できれば金額も大きいし目立つのですが、受注する側にとっても計画が大きすぎて躊躇いがちです。

新幹線と比べると、地下鉄や都市内鉄道は、最高速度も低いし派手さこそありませんが、運行の正確さや安全性というオペレーションの巧みさが目立ちやすいと思います。

オペレーション輸出は、規制分野で効果的

さらに話を広げます。都市間高速鉄道や都市内鉄道は、規制の厳しい分野であり、そもそも外資が営むことは難しいです。でも、オペレーションの輸出であれば可能なわけです。規制が厳しくて海外進出が難しいと思われていた業種は色々ありますね。オペレーション輸出という道を考えてみても良いかもしれません。

日本のお家芸は製造業?オペレーションでしょ。

日本の得意分野は製造業と言われますが、どうでしょうか?

21世紀に入り、工場を持たないファブレス業態に時代の趨勢が移ってからは、日本の製造業の落ち込みが目立ってきています。「製造業」をより分解して考えると、ファブレスによって切り出されてしまった部分、オペレーションこそが日本の得意分野なのではないかと思うのです。

製造業に限らず、鉄道でも居酒屋でも日本のオペレーションは卓越しています。ビジネススクール(MBA)で学んだ人は頷いてくれると思いますが、ビジネススクールで学ぶ主要科目である、ファイナンス、マーケティング、アカウンティング、オペレーション, etc. の中で、日本発といえる思考様式が最も大々的に取り上げられているのは、オペレーション分野の「トヨタ生産方式」ですよね。

話を戻しますが、オペレーションを輸出するMTR、日本にとって一つの参考になりそうです。